【海外論文を読む】Digital Transformation Strategies

日本におけるDXについて情報を集めたが気になったので海外ではどう語られているかを読んでみた、Google Scholarで一番上に出た記事をとりあえず読んでみた。
レガシー問題への言及はなかったものの、トップのコミットメントやVISION、既存の従業員のITリテラシーの引き上げ、現場の抵抗など日本における課題と共通項も見られた、2015年の論文なのでそうした点にこのタイミングで気づいているのは早いのかもしれないが、、、

Digital Transformation Strategies | SpringerLink

メモとして内容を残すけど、英語はあまり得意でもなく誤訳があってもあしからず。


# 1.背景

これまで、ITと言うとインフラに特化したり、業務まで入り込んでいなかったこともあったけど、DXは、企業のVISIONや企業の文化、オペレーションなど聖域なく変革を求める。さらに、DX戦略というのは、業務戦略・部門戦略を包括し企業戦略と同期していくものである。この研究ではそのガイドラインとなる様なものを作りたく研究を行った。

# 2.Digital Transformation Strategiesの2つの目的

ケーススタディや文献分析の結果、DX戦略には4つの要素とフレームワークを定義することにした。

## 2.1 DX戦略の4要素

4要素は以下である。

テクノロジー活用

価値創造の変革

財政面


### テクノロジー活用

テクノロジー活用には2つのスタンスがある。

1. 業界への新たなスタンダードを自ら構築する
2. 他社が作ってくれたものを後追いする

1に関しては競争力の向上につながるものの、リスクが高くかつ高いITスキルが企業全体に求められる【ここから新たなSaaSやISVが生まれるんだろうなぁ】

### 価値創造の変革

今までのビジネスモデルや、Valueチェーンに変革をもたらす。これまでの商品・サービスを拡充していく可能性もあり新たな競争力を獲得する一因にもなるが、こうした価値創造の変革はこれまでのオペレーションや強みにも変革が起こるため抵抗感も強い。

### 構造改革

デジタルによって業務や求められるスキルが変わるため、組織自体を変えていく必要がある

### 財政面

既存ビジネスが縮退する様な危機的なニーズがないと、経営者も投資ができない。既存ビジネスの危うさがましてきた時こそDXの実施するタイミングなのかもしれない。【日本だと、茹でガエル現象が起こりニッチもサッチも行かなってから始めている感じがするので、危機が見えたらGOくらいな感じがいいと思う】

## 2.2. DX戦略の遂行について

デジタルトランスフォーメーションは複雑で継続的な仕事、十分かつ明確な責任が割り当てられる必要がある。
中途半端にやれば業務遂行の困難やスコープの未達成が起こるだろう企業はオペレーショナルなDXを推進する人は十分な権限を与えられ、その業務が彼らのインセンティブとも紐づくように保障する必要がある
現在まで、どのシニアマネージャーがDXに責任を持つのかは明確にはされていない。

候補者には現場のマネージャーやCDOも含まれる。
会社全体にわたるトランスフォーメーションは各部門からの抵抗も想定されるため、デジタルトランスフォーメーションは長い期間がかかる、特に初期にはtopマネジメントからのサポートが必要である。そうした抵抗に対処するため、トランスフォーメーションのリーダーシップには様々なステークホルダーを巻き込めねばならない

一方で、初期段階から実装段階必要であればさらなるトランスフォーメーションの段階で十分なスタッフも必要である

デジタル技術の拡散は迅速に変化しているので、DX戦略には不確定要素が多い、したがって、DX戦略は継続的に再評価される必要がある。
初期のアクションが期待とずれていないか確認するためにも、明確な手順に基づき、再評価される必要があるのだ
再評価の期間だけでなく、正しかろうアクションが行われているのか進捗状況の手順、評価指標も定義する必要がある。
そうしたメソッドはマネジメントの信憑性の保証やバイアスの排除に重要になる

# 3.さらなる研究機会

DX戦略の基礎はすでに存在しているが、さらに多くの研究テーマはありそれを三つに分けて話したい

## 3.1DX戦略成功の要素

DX戦略フレームワークは4要素とともに重要である。
次なる研究では、4要素に属するような、本質的な共通項を見つける必要がある
経験的な知見はDX戦略を業界に跨いで、比較し共通項や違いを見つけるのに役に立つ
大きな疑問としては、各企業がどこまでdigitaizationをやればいいのかということである、技術活用の広がりが常に良いというわけではないので。
さらなる研究は業界、企業規模、コアプロダクツに応じてどんな影響の違いが出るかを分析することである。同様にBtoBか、BtoCなどの違いも検討の視野に入る。
さらにDXはDXを起こすというスキルだけでなく通常業務においてもスキルチェンジが求められる。 
テクノロジー知識がないもしくはそうした知識をつけることもできない社員がいる中で高いスキルを持った社員を見つけ出すことは困難である。
テクノロジー知見をもつ社員を評価し、さらにそうでない社員のトレーニングを施すガイダンスとしても役に立つはずだ

## 3.2進め方と責任

限られた経験的な証拠しかないために、DX戦略の実装と再評価に曖昧さが残る、そしてこの状況は技術進化の速さとそれに応じたDX戦略の調整の必要性もあいなり、増強されてしまう
この状況というのはDX戦略の継続的な改善を行うための進め方の具体的な推奨が求められる、例えばどうやって技術的発展を追いかけ評価するか、どうやって社内のコントロールが効く環境でそれを試すか?などの方法論が求められる。
ほかの主要的命題には、DX戦略の希望的拡張と、いっときのアクションが成功したと評価できるDX戦略プロジェクトの粒度が必要となる
進め方の定義に付け加えるなら、CDOの役割と責任を定めるために、さらなる知見が必要である。ボーダレスで広い範囲を持つが故に、なんでもCDOになってしまう恐れがある。
研究ではCDOの必要性を分析し、その新しい役割のガイドラインを定義すべきである

## 3.3 企業におけるDX戦略の統合について

DX戦略は企業の多くの分野に関わるため、しかしながらIT戦略と他の戦略を統合することは難しさもありともすれば、机上の空論になってしまう。DX戦略にとって近年話題になっているのは、実践的な取り組みに基づいたデータである。
DX戦略は様々な戦略にも影響を与えるからこそ、努力が必要なのだ。企業内の共通のゴールや他部署の戦略とも同期させ、様々な人が参加出来る取り組みにするため、研究ではこうした企業内の取り組みを構成づけさせる必要がある。